天才子役:ジュリア・バターズ
私の演じる役は、とってもプロフェッショナルなの。優しい子なんだけど、あまりにプロ意識が高いから、ちょっと小悪魔的にも見えるわ(笑)。子供っぽくて、大人っぽい、その変化が面白いの
ジュリア・バターズ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』インタビュー
クエンティン・タランティーノ監督が自らオファーを出したというトルーディ役:ジュリア・バターズはまだ10歳
2016年スタートしたTVコメディシリーズ『アメリカン・ハウスワイフ』 アナ=キャット・オットー役を演じ、それを見たタランティーノ監督が一目惚れ!
彼女は凄いよ。オーディションで会ったときに『俺のトルーディだ!』って感激した。彼女は本能的に女優なんだ
クエンティン・タランティーノ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』インタビュー
クエンティン・タランティーノはオーディション時のジュリア・バターズの演技にインスピレーションを得て、なんとトルーディのセリフを1ページも足したという!
あのクエンティン・タランティーノ唸らすとは将来有望過ぎる!
ジュリア・バターズはまた女優としての活動だけでなく、既に自分で脚本や短編映画を手がけており、自身のYouTubeチャンネルで、『Giant Tarantula』という大きな蜘蛛と戦う短編映画を上げたり、R指定の映画をレビューしたりと多彩な才能を披露している
そして将来的には監督になりたいらしい
明確な将来のビジョン、行動力、発言、全てが10歳のそれじゃない・・・
どうすればそんなに賢い10歳になれるのか・・・
肩書や逸話も凄いけど、映画の中での演技もやっぱりかなり凄い
トルーディ:ジュリア・バターズは、リック・ダルトン:レオナルド・ディカプリオが「対決ランサー牧場」で口に付けられた(嫌々)口ひげの糊が乾くまでランチを食べないでくれと言われ、ふらふらとあてもなく撮影現場をさまよっている時に初めて登場します
初登場シーンから小さいけれど、ただならぬオーラを発するトルーディをリックは無視できず話しかける事で2人の演技がスタートします
何気ない撮影途中の一コマであり、映画としてはワンシーンですが、このシーンが『ワンハリ』を普通の映画じゃなく、『タランティーノの映画』たらしめているシーンとなっています
今日はその“賢過ぎる子役”と“賢過ぎる犬”についてご紹介
女優ではなく俳優
ジュリア・バターズは小さなメリル・ストリープ
レオナルド・ディカプリオ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』インタビュー
メリル・ストリープをご存知ない方がいらっしゃるかもしれないので、補足しておくと、
俳優としてのキャリアは40年以上
アカデミー賞ノミネートは史上最多の18回
代表作に『クレイマー・クレイマー』(1979)『プラダを着た悪魔』(2006)『マンマ・ミーア』シリーズ(2008)
御年70歳の大ベテラン
※個人的には『永遠に美しく・・・』(1992)が大好き
そんなメリル・ストリープを彷彿とさせるとディカプリオからも絶賛されたジュリア・バターズ
『対決ランサー牧場』でのワンシーン
ジュリアは『ワンハリ』を撮影中、あえてレオに対して
キャラクターについてわたしに話さないで、だってわたしのキャラクターは、リックについて何も知らないはずだからよ
ジュリア・バターズ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』インタビュー
ジュリアの演技へのストイックさはトルーディのキャラクターと全く同じ
映画の中で映画を撮影しており、その映画『対決ランサー牧場』のワンシーンで(文字にすると相当ややこしい)レオがジュリアを人質に取るシーンがあります
その一連のシーンがレオとジュリアの最大の見せ場であり、この『ワンハリ』の見所の1つ!
レオは訳あって最後に涙を流します
僕も(一緒に映画館で見たクエンティン・タランティーノを全く知らない彼女も)感動したシーンでした
トルーディはリックに“女優ではなく俳優”として認められたいと
自身の役者としての哲学を語るシーンがあります
それはもしかするとトルーディの哲学であり、ジュリアの哲学なのかもしれません
クリフ・ブースとブランディ
鼻鳴らした? 鼻鳴らしたらメシ抜きだ
クリフ・ブース『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
愛犬とトレーラーハウスで暮らすクリフ・ブース:ブラッド・ピット
その愛犬がブランディ
リックを自宅まで送迎し、自身のトレーラーハウスに帰宅し、愛犬ブランディとのディナーのシーン
リックの豪華な自宅と比較するとあまりにもその格差が大きい事に悲しくなりますが、
当の本人、クリフは至って穏やか
愛犬:ブランディとのやり取りを楽しんでいて、自身の生活にそこまで悲観していないようにも見え、クリフの楽観主義的な性格が垣間見えるワンシーンになってます
しかし『ワンハリ』映画の中のハリウッド業界でクリフは“妻殺し”の噂があり業界から干されています
その噂が真実か否かはクエンティン・タランティーノのみぞ知る・・・
落ちぶれた生活(本人はそう思ってないかもだけど)の唯一の支えとなっているのブランディ
ちゃんとご飯になるとソファーにお座りして、よだれを我慢するブランディ
ドロドロの美味しそうな!?ドッグフードを待ち望んでるブランディ姿がめちゃカワイイ
クリフも少し味見してみると意外にイケる?みたいな顔するので“ホントかよ!?”ってツッコみたくなる面白いシーンとなっています
『カンヌ国際映画祭』パルムドッグ賞を受賞
なお、ブランディは優秀な演技をした犬に贈られる『カンヌ国際映画祭』パルムドッグ賞を受賞している
ちなみにブランディは雌犬で、タランティーノ監督も「彼女は素晴らしい女優」と演技を称えている
パルム・ドッグ賞の授賞式に参加できなかった彼女の代わりに、名誉ある首輪を受けとったのは監督だったそう
犬にも賞がある事を僕はこれで初めて知りました
クリフとブランディ
どこか顔も似ている!?この2人
リックとクリフとの友情が『ワンハリ』では主に描かれていますが、クリフとブランディの友情にも注目してほしい
ご主人様に忠実な短い尻尾をぶんぶん振り回すブランディにも目が離せない
※少しだけネタバレしちゃいますがクライマックスでもブランディは大活躍
まとめ
“賢過ぎる子役”と“賢過ぎる犬”
主演のレオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピットをより魅力的に、
かつリックとクリフのキャラクター描写を深堀しながら演じている子役と犬にもちゃんと見せ場を用意している
ビジュアルで勝負しているように一見見えるけれど、緻密に計算された演出でどこを取っても面白い“タランティーノムービー”の奥深さ
書いても書いても出てきてしまう『ワンハリ』映画ブログ
皆さんにも是非映画館で見て頂く事をおすすめします