タランティーノへのマーゴットからのラブレター
自分の演技に自信を持つことができたらタランティーノ監督に直接手紙を書こうと思っていたの
マーゴット・ロビー『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』インタビュー
マーゴット・ロビーが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に出演するきっかけは、実はクエンティン・タランティーノ監督への“直々のラブレター”からだったという
じつはクエンティン(タランティーノ監督)がこのプロジェクトに着手するということを知らずに、彼に手紙を書いたの。「大ファンです。仕事をしているあなたを見せてもらってもいいですか」って。昔からずっと「手紙を書きたい。彼に連絡したい」と思っていたの。子どもの頃から彼の作品にずっとあこがれてきたから。
マーゴット・ロビー『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』インタビュー
なぜこのタイミングだったのか、それはマーゴット・ロビーの中にある“自信”が関係していた
でもずっと控えていたの。「彼に連絡できるほどの役者には自分はまだなっていない」と思って。彼に連絡できるくらいいい演技ができるようになった、と思えるまで待っていたの。「アイ,トーニャ史上最大のスキャンダル」の最初の正式なアセンブリーカット(初期の編集版)を見たときに、「よし。自分の演技に満足できた。彼に連絡しよう」って思って、手紙を書いた。それがきっかけになったの』
マーゴット・ロビー『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』インタビュー
彼女程の才能と美貌を持ってしても“タランティーノムービー”への参加はハードルが高い
何よりファンの期待値の高さがある分、生半可の事ではファンから袋叩きにあってしまう
マーゴット自身、満を持しての参加は期待以上の出来栄えだったと思います
シャロン・テートとマーゴット・ロビーの日常
ええ。本作のカンヌでのプレミア上映はシュールだったわ。スクリーン上のシャロンとまったく同じように、席に座って映画を見て、周りの人たちの反応を聞いて「これが現実に起きていることなんて信じられない!」って思っていたから。映画を見る喜びの半分は、大勢の人たちが同じときに、それぞれ違った反応や同じ反応をしているのを見るという、共通体験にあると思う。
マーゴット・ロビー『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』インタビュー
マーゴット・ロビーがインタビュアーに“あなたもシャロンのように自身の映画を映画館で観に行ったことはありますか?”という質問に対しての回答
その共有感に匹敵するものはないと思う。隣の人が笑い声をあげたり、クスクス笑ったり、息をのんだり、音楽に合わせて頭をゆらしたりするのを見聞きすることで、自分の映画体験も高まる。楽しみが倍増する。家で一人で見ていたら、同じような体験にはならないんじゃないかなと思う。スクリーン上に投影されることで、真の映画体験になるのよ』
マーゴット・ロビー『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』インタビュー
確かに外人だらけの映画館だとこういう映画館での映画体験ができるんだろうなー
日本とは少し違う感覚もしれないけれど、誰かと映画を観るとまたその映画が違った価値を持つと思う
特別な人と観た映画は特別な意味を持つ
これには凄く共感
クスっと笑える本編
シャロン・テートさん頑張って~と応援したくなるワンシーン
今日は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の女性陣を中心にご紹介!
タランティーノとヒッピー
プッシーキャット:マーガレット・クアリー
彼女の本作の役割は1969年の時代を象徴する“ヒッピー”を体現する事 ※とにかくフレッシュでカワイイ
“ヒッピー”とは、第二次世界大戦終結後に始まった出産ブームに生まれた世代が、60年代に若者に成長し、大人たちのあらゆる価値観に反抗し始めた流れで生まれた若者たちの総称、所謂“カウンターカルチャー”
とにかく自由に生きること
これがヒッピーたちのモットー
就職せず、結婚せず、自由に暮らして自由に愛する事をヒップ(かっこいい)と呼び、そう生きる若者が“ヒッピー”と呼ばれた
本編でも残飯をあさりながら、楽しそうに歌っているシーンが印象的だった
お気楽な感じがなんとも羨ましい
僕は映画の中に生きる“ヒッピー”たちを見て、
“若き日のタランティーノもこういう光景を見ていたんだろうか”とタランティーノの少年時代に引き込まれていくような感覚に陥ったのを覚えています
そしてマーガレット・クアリーの“キレイ”さと“グロさ”のギャップ
“フリーダムなヒッピー”を演出した結果なんだと思うのですが、そこまでやるか!?のシーンがクリフ・ブース(ブラッド・ピット)とプシーキャット(マーガレット・クアリー)とのドライブシーン
誰もがそのシーンに驚くはず・・・※観てない人は楽しみにしてて
タランティーノとワインスタイン
古き悪しきハリウッドとの決別
これは隠れたタランティーノの決意表面だと思う
タランティーノをスターにしたとも言われている映画プロデューサー“ハーヴェイ・ワインスタイン”
タランティーノ監督作品の多くはハーヴェイ・ワインスタインによるプロデュースされてヒットした
ハリウッドでかなりの実績を残し権力を持っていたハーヴェイ・ワインスタインは、2017年にその権力を悪用し、多数の女優に対しセクハラや性的暴行を長年に亘って行っていたことが明るみに出たことにより“#Me Too運動”と呼ばれる一大ムーブメントを引き起こした
世間はワインスタインを激しく批判したけれど、タランティーノはなんと彼のセクハラや性的暴行に対し、長年見て見ぬふりをしていたという!
ただの噂やゴシップにとどまるものではなかった。人づてに聞いたことではなかったんだ。私は彼によるいくつかの行為を知っていた。私は自分が聞いたことに関して、自分の義務を果たすべきだったと思っている。もし当時、私がすべき行動をとっていたら、私は彼と仕事をしないことを選択していただろう
クエンティン・タランティーノ ワインスタインのセクハラ事件へのコメント
このタランティーノのコメントから、過去のロマン・ポランスキーの未成年をレイプする事件に対し擁護するコメントまでぶり返され大炎上!
相当バッシングされたのが余程堪えたんだろうね・・・
クリフ・ブースがプッシーキャットから関係を迫られても頑なに拒否するという描写があるんですが、これはタランティーノが今の自身の考えをクリフ・ブースに反映させているんじゃないかと思っています
成長したタランティーノのメッセージが読み取れるようで単純なシーンが実は奥が深いと思ってしまうのは考え過ぎ!?
見過ごせない“クエンティン”組のファミリーたち
スクィーキー・フロム:ダコタ・ファニング
『アイ・アム・サム』(2001)の面影はどこへやら・・・
本作ではヒッピーのボスキャラ的な存在の役柄
少女から大人の女性へ成長した彼女も晴れて“クエンティン”ファミリー入り
フランチェスカ・カプッチ:ロレンツァ・イッツォ
リック・ダルトンのイタリア滞在中に出会った奥様
『ノック・ノック』(2015)というキアヌ・リーブス主演の最悪の映画に出てた女優さん
地味に好きな女優さん
本作でもそのスタイルは抜群
チョイ役だけど“クエンティン組”ファミリーに参加
その他にもクエンティン・タランティーノに所縁のある俳優たちが本作には多数登場している
「キル・ビル」ユマ・サーマンの娘も登場
フラワー・チルドレン:マヤ・ホーク
『キル・ビル』シリーズの主演ユマ・サーマンの娘が本編に登場している
母親と同じくモデルと女優をこなす
ジョアンナ:ルーマー・ウィリス
『パルプ・フィクション』(1994)ブルース・ウィリスの3姉妹からルーマー・ウィリスが出演※一番右の女性
役をゲットしたことを知ったのは、30歳になる3日目だったの。これまでで最高の誕生日プレゼントだったわ!
ルーマー・ウィリス『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』インタビュー
父親のブルース・ウィリスもさぞ大喜びだろうね!
近年は人気リアリティ番組や話題のテレビドラマに出演し活躍の場を広げている
パーラー・ヘイニー=ジャーディン
クリフにLSD漬けのタバコを売る娘役で出演
この子はなんと『キル・ビル vol.2』(2004)にザ・ブライドの娘役で出演していたあの子!
大きくなってたけど、1回見ただけじゃ顔を思い出せない・・・
まとめ
『ワンハリ』を振り返ってみると、シャロン・テートを筆頭に女性たちも活き活きと描かれているように感じました
男同士の友情と、ある女優のとある日常を描いた『ワンハリ』
古き悪しきハリウッドの伝統と歴史を“暴力”で変えようとするタランティーノ流の未来へのメッセージと愛が込められた作品だったように思います
エンターテイメント作品ではあるけれど、時代が変わる節目を切り取った事が、これから時代を変えようとするタランティーノからのメッセージだと僕は読み取れるような気がします
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
オットー・ビスマルク
“愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるために、他人の経験から学ぶのを好む”
この言葉をもしかするとタランティーノも意識したのかな!?
進化するタランティーノの10作目がたまらなく待ち遠しい!