シャーリーズ・セロン版『ジョン・ウィック』最強女スパイ現る!
シャーリーズ・セロンが金髪の最強女スパイを演じる映画『アトミック・ブロンド』(2017)
シャーリーズ・セロンが製作に名を連ね、完成に情熱を注いだ『入魂のプロジェクト』
2010年には原作『The Coldest City』の完成稿を既に取得しており、シャーリーズ・セロンが長年温めていた企画でもある ※原作が発表されたのは2012年!
2015年映画化が決定し、11月~撮影スタート
そして2017年公開
撮影に至るまで4年、公開まで7年
長年の夢を実現し新たな“女性アクションヒーロー”が誕生した
完成までにかけた時間もさることながら徹底した“リアル”へのこだわりがシャーリーズ・セロンの日々の過酷なトレーニングの原動力だった
とにかく膨大なトレーニングをしたわ。プリプロダクションから、すべての空き時間はワークアウトに使うと決めていたの。朝、学校に子供を送り届けてからスタジオに直行し、4~5時間のワークアウトを毎日! 特に上体のトレーニングに重点を置いて、ある程度鍛えたところでファイトシーンに向けた練習を開始したわ
シャーリーズ・セロン『アトミック・ブロンド』インタビュー
2人の子供を抱えるシングルマザーとして育児をし、家庭を支え、体を鍛え、仕事をする
ハリウッド女優の頂点とは正にこういうハードワークの元に成り立っているのかも
今日はシャーリーズ・セロンの新たな代表作『アトミック・ブロンド』(2017)について語っていきたい
『アトミック・ブロンド』(2017)をレビュー
監督 デヴィッド・リーチ
主演 シャーリーズ・セロン
出演 ジェームズ・マカヴォイ ソフィア・ブテラ ティル・シュヴァイガー ビル・スカルスガルド
上映時間 115分
“最強の女スパイ現る”
ベルリンの壁崩壊が迫った1989年秋。MI6は潜伏中のスパイを殺害した謎の組織を崩壊させるべく、ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)をベルリンへ急行させた。組織の命令でMI6ベルリン支部の責任者デヴィッド・パーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)とタッグを組むことになったブロートンは、彼と対立しながらも、捜査を進めていく。しかし彼は不審な行動によってロレーンを混乱に陥れていく……。
アトミック・ブロンド(2017)
「ジョン・ウィックシリーズ」好きなら見るべき!
結論として『アトミック・ブロンド』(2017)は「ジョン・ウィック」シリーズ(2014~)が好きな方なら見て損はないはず!
「ジョン・ウィック」の女スパイ版
痛々しく、生々しいアクションシーンの見応えもあり
この映画はスパイ映画を基準とするのであれば“女性版ジェームス・ボンド” ※両者共にMI6
「007 カジノロワイヤル」(2006)のダニエル・クレイグ版ジェームス・ボンドのようにぼこぼこに殴られる
主人公がシャーリーズ・セロンだからと言って容赦ない
そこがまず斬新でスパイ映画の代表作である「ミッション:インポッシブル」や「007」と一線を画している
男社会に殴り込みをかけるシャーリーズ・セロンの気迫
男には任せてられないとばかりに今までのハリウッドの伝統に殴り込みをかけるシャーリーズ・セロンのスクリーンから溢れんばかりの気迫と情熱を感じずにはいられない
女性主役のアクション映画の代表格となった『アトミック・ブロンド』(2017)
一昔前は女性が男性の添え物のように扱うアクション映画ばかりだった
往年のアクション映画の定番はやっぱり愛する女性のために男性が頑張る映画がほとんど
製作者、配給会社としても観客が求める、見慣れている設定に沿ってプロットを作る方が無難にヒット作を生み出せるのでそういった作品が量産された
なので現代の強い女性達には満足行く作品と言えるものが好んで作られる事はなかった
シャーリーズ・セロンも過去に「イーオン・フラックス」(2005)で女性主役のSFアクションに挑戦したが興行的に失敗 ※作品としてもあまり印象にない・・・
そのストレスと怒りを原動力にシャーリーズ・セロンは女性が男性を圧倒するクールな映画を創りたかったんだと思う
続編も期待できる興行成績!
『アトミック・ブロンド』(2017)の世界興行収入は9,500万ドル
製作費3,000万ドルに対しての成績としては十分大成功
『ジョン・ウィック』(2014)は世界興行収入は8,800万ドル
製作費2,000万ドルなんでこちらも大成功を収めている
実は『アトミック・ブロンド』(2017)の方が実績としては上!
是非新たなミッションに挑んでもらいたい
『アトミック・ブロンド』(2017)の見どころ
『アトミック・ブロンド』(2017)の見どころはこちら
1.リアルなアクション
2.ブロンドが映える80’sファッション
3.実力派俳優による癖のあるキャラクター
アトミック・ブロンド 見どころ
1.リアルなアクション
『 アトミック・ブロンド』の監督を誰に起用するのかについて、シャーリーズ・セロンは『ジョン・ウィック』の出来栄えが印象に残っていたのでデヴィッド・リーチ監督に猛アプローチ
デヴィッド・リーチ監督は『アトミック・ブロンド』と『ジョン・ウィック:チャプター2』のどちらを優先すべきか悩んだ末、最終的に『アトミック・ブロンド』を優先することにした
その甲斐あって出来栄えはシャーリーズ・セロンも納得のアクションシーン!
ファイトシーンに真実味を持たせたかったし、女にはできないとも言われたくなかった
シャーリーズ・セロン『アトミック・ブロンド』インタビュー
アパートでのアクションシーンは香港映画のオマージュが多数散りばめられている
冷蔵庫や靴、鍋などの身の回りあるものを使って敵をなぎ倒すアクションはジャッキー・チェンを参考にしたよう
シャーリーズ・セロンは結構ジャッキー・チェンの映画も見るみたいでアクション映画を見るのが好きみたい
意外な一面のような気もするけど、親近感が湧く
・撮影中、歯を食いしばりすぎて歯を3本折っていた
・スタントシーンはほぼ本人が演じている
シャーリーズ・セロンの並々ならぬ気合が『アトミック・ブロンド』には詰め込まれている
特に1番の見せ場は7分間ワンカットのアクションシーン
息遣い、うめき声、銃声、血しぶきが飛び交う
無機質なビル内での攻防戦
お互いに殺気むき出しで殺し合うシーン
ここは本当に目が離せない
シャーリーズ・セロンのようなブロンドスレンダー美女にボコボコに殴られたい夜に観るのがおすすめ
2.ブロンドが映える80‘sファッション
「80年代のファッションから最高にカッコいい要素を見つける」
シャーリーズ・セロンはファッションにも並々ならぬこだわりを発揮する
“革のコートを着て、ガーターベルトを付けて変装しているスパイがいたらどうだろう”
こうしてシャーリーズ・セロンのアイデアを取り入れ、新たなスパイファッションが完成した
男性のアクション映画の欠点があるのであれが、それは主人公の衣装がとにかく“ダサい”
結局戦ってボロボロになるからだろうか、ありきたりな黒のTシャツとか革ジャンにピッタリした黒のデニムとかが多い
ジェームス・ボンドは黒のタキシードかスーツ着せてればいいから、スーツ以外のバリエーションはほとんどない
・その点シャーリーズ・セロンは元モデル出身
・ファッションセンスの良さは随一
自分に合ったファッションをわかってらっしゃる
後、とにかく派手!
※スパイってあまり目立たない感じの方が良さそうだけど・・・
ベルリンの街を歩くだけで画が映えるシャーリーズ・セロンは超cool!
ブロンドの髪が血に染まっていくのがまた“壮絶さ”を演出している
実力派俳優による癖のあるキャラクター
デヴィッド・パーシヴァル/ジェームズ・マカヴォイ
以前、イタリア娘に言われた、“汚れた過去は消せない”と。女はいつも邪魔になる
デヴィッド・パーシヴァル (アトミック・ブロンド)
デヴィッド・リーチ監督はジェームズ・マカヴォイへの評価をこう語っている
彼は演技の達人だよ。僕は彼の大ファンなんだ。パーシヴァルの役を演じることを引き受けてもらえて、夢が実現した。彼は実に多くのものをキャラクターに持ち込んで、いきいきとさせてくれた
デヴィッド・リーチ監督(アトミック・ブロンド)
ジェームズ・マカヴォイの印象は僕が見た映画で言うと『スプリット』(2016)の多重人格者の演技が印象的過ぎて一気に好きなった俳優
天才としか言えない演技力で見事に演じ分けていた
『X- MEN』シリーズのプロフェッサーXなんかのイメージが固まり切った役もファンのイメージ通りに演じ、『X-MEN』シリーズでも安定の演技力を発揮
今回は“ぶっ飛び系”演技をイキイキと演じており、見てるこっちもなんだか楽しくなる
※素顔は正統派イケメン!
デルフィーヌ・ラサール/ソフィア・ブテラ
フランスのスパイ=デルフィーヌ
デルフィーヌはロレーンに近づき、心を通わせていくキャラクター
ソフィア・ブテラは、マドンナの専属ダンサーとして注目され、女優としては『キングスマン』の義足の殺し屋・ガゼル役や、『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』の古代エジプト女王・アマネット役でキャリアを積んできた
出会った瞬間からデルフィーヌはブロートンに魅了される。とても美しく、自信に満ちていて、威厳があるからよ。そして、デルフィーヌの愛情がブロートンの冷たい外見や態度を少し溶かし始めるの
ソフィア・ブテラ 『アトミック・ブロンド』 インタビュー
ソフィア・ブテラがこう言い放つようにシャーリーズ・セロンとの心の距離を縮めていくシーンがある
ソフィア・ブテラが惹かれていき、シャーリーズ・セロンはそれを利用する
駆け引きがスパイ映画の醍醐味だけれども、女性同士のそういうのは見たことがない
シャーリーズ・セロン曰く、
“ブロートンが任務のためなら何でもする事を証明してみせたかった”
その効果は絶大
ハッとするような美しさと生々しさが共存しうる独特の妖しさを醸し出していた
『アトミック・ブロンド』(2017)印象的な名セリフ、名言
警察が来るなら違う服を着ていったのに
違う服?
ロレーン・ブロートン 『アトミック・ブロンド』 (2017)
どんな時にもオシャレに余念がないロレーン(シャーリーズ・セロン)のキャラクターを一言で表したような印象的な名セリフ
そこの人に言われた“誰も信じるな”って
ロレーン・ブロートン 『アトミック・ブロンド』 (2017)
スパイ映画特有の“誰も信じるな”
あるあるの名言、名セリフではあるけれどベルリンの壁崩壊の歴史を背景にしていると考えると、リアルに聞こえる
まとめ
見どころはたくさんあるし、何より美しいシャーリーズ・セロンが傷だらけになる姿が逆に見どころ! ※ドS?
女性時代の到来を感じさせる斬新なスパイ映画
ファッション、音楽、アート、バイオレンスをぎゅっと濃縮した映画がこの『アトミック・ブロンド』(2017)
敢えて残念な所を挙げるのであれば
・スパイ映画特有のストーリーの複雑さ
・ロレーン・ブロートンの闘う理由
ストーリー展開がもう少しわかりやすければ、もっと見やすくなるけど、
やりすぎるとスパイ映画ではなくただのアクション映画にもなりかねないからバランスが難しい
そこはデヴィッド・リーチ監督の今後の手腕に期待かな
この監督は実は『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019)と同じ監督
アクションは得意だけどストーリーテラーとしては僕はもう少しって感じだと勝手に思ってます
監督から映画を観ていくのもまた映画の新たな魅力が発見できるポイント!
『アトミック・ブロンド』(2017)の主人公ロレーン・ブロートンの腕は超一流
でも闘う理由が薄かったかなー
『ジョン・ウィック』(2014)のように闘う理由が“復讐”という誰しもが共感できる理由があればもっとドラマティックにアクションも映えるはず!
シャーリーズ・セロンからの続報を待ってます
カセットテープから聴こえてくるような音質と懐かしい名曲の数々が場面を彩る
ファッションと音楽のセンスが素晴らしいシャーリーズ・セロンの代表作!